A.小児の診療の特異性
小児診療がほかの診療科と最も異なるのは,患者が子どもであり,診療内容を十分に理解することが困難な場合が多いことである.そのため患者が低年齢になればなるほど,保護者とのコミュニケーションが重要となる.
さらに子どもは成長,発達の過程にある.小児の患者はこれまで育ってきた生育環境のなかでさまざまな疾患を発症したのであり,診療後には同じ環境に帰っていくことになる.診療の場では,普段の生育環境を常に意識しておかなくてはいけない.
B.小児における患者教育
患者教育と治療は小児診療の両輪である.軽症患者の多いプライマリケアにおいては,治療よりむしろ患者教育が診療の主体になる.単なる発熱や咳嗽で受診した場合でも,保護者の立場では不安を感じるのは当然であり,理解と共感を示さなければいけない.
乳幼児の健康トラブルの多くは感染症に由来するものであるが,なぜ症状が出ているか,可能な限り