診療支援
治療

late preterm児のケア
care of late preterm infants
豊奈々絵
(淀川キリスト教病院小児科・副部長)

治療のポイント

・体温管理,呼吸状態に留意する.

・低血糖に注意する.

・哺乳不良,脱水や体重増加に注意する.

・光線療法を要する高ビリルビン血症の発症に注意する.

・パリビズマブの対象である場合には,予防接種の案内をする.

●病態

・在胎34週0日以上37週0日未満の児をlate pretermとよぶ.

・2005年に米国のNational Institute of Child Health and Human Developmentが在胎34週0日から36週6日までを後期早産と指定し,以前はnear termという用語で分類されていたが「ほとんど正期産」ではないという事実を強調するためlate pretermが標準用語として確立した.

・中枢機能,内分・代謝の未熟性に関連した合併症のリスクは高く,低体温,低血糖,呼吸障害,高ビリルビン血症のみならず,哺乳の観察も必要とされる.

●治療方針

 未熟性から生じるさまざまな症状に対しての観察,介入を行う.

A.体温

 生命維持,恒常性維持のためには,至適体温に保つ必要がある.出生時,羊水はできる限り早くふき取り,ラジアントウォーマーによる保温を心がける.出生後のカンガルーケアなどにより体温が下がる場合も少なくないため,定期的な体温測定を心がける.体温保持が難しい場合には掛物や帽子,保育器への収容も考慮する.

B.呼吸

 呼吸機能の未熟性により,出生時より呼吸障害を認めることが多い.在胎週数が増えるほど呼吸機能は成熟していくが,在胎34週ではサーファクタント不足により肺胞が十分に広げられない呼吸窮迫症候群,在胎37週以降では肺水吸収遅延による新生児一過性多呼吸が多くみられ,出生時から呼吸・循環のモニタリングが必要となる.呼吸障害を認める場合にはすみやかにNICUへの入院を依頼する.

1.呼吸窮迫症候群

 サーファクテンの気管内投与,陽圧換気,酸素投与.

2.新生児

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