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新生児の注射法
methods of subcutaneous and intramuscular injection for neonates
三条雅敏
(三条小児科医院・院長(宮城))

 注射法には,皮内注射・皮下注射・筋肉注射・静脈注射がある.薬液の吸収される速さを比較すると皮下注射1に対して,筋肉注射2,静脈注射10といわれている.ここでは皮下・筋肉注射について,部位・手技・注意点について述べる.

A.皮下注射

 皮下注射とは,皮膚と筋層の間の皮下組織に薬液を注射する方法である.各種予防接種やエリスロポエチン,G-CSFの投与で皮下注射が行われる.

1.注射部位

 上腕伸側下1/3または大腿前面.

2.手技

 注射針は23~27Gの針を用いる.皮膚を軽くつまみ上げ,20~30度の角度(皮下脂肪の少ない患児ほど小さくなる)で針を皮下組織に穿刺する.血液の逆流がないことを確認し,薬液を注入する.注射後は圧迫止血を行う.

3.注意点

 新生児,特に未熟児では皮下脂肪が少なく,頻回の皮下注射で皮膚組織の損傷や感染の原因となるので部位を変えて行う.橈骨神経の走行に注意が必要である.冷蔵保存の薬液では室温に戻してから投与する.

B.筋肉注射

 筋層部は皮下組織に比べて毛細血管に富むため,薬剤は皮下注射の2倍の早さで吸収される.また筋層部では,静脈内や皮下組織に対しては不可能な油性剤の注射が可能である.筋層内に注射された薬剤は徐々に吸収されるため,薬剤の持続的効果が期待される.抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)やパリビズマブなどで行われる.

1.注射部位

 大腿外側広筋.

2.手技

 注射針は23~27Gの針を用いる.皮膚を伸展し,90度の角度で筋肉組織に穿刺する.血液の逆流がないことを確認し,薬液を注入する.注射後は圧迫止血を行う.

3.注意点

 頻回の筋肉注射が必要なときは,部位を変えて行う.注射により筋線維の障害を生じ,筋の発育が阻害されて拘縮をきたす可能性がある.このため,ほかの投与法が可能な薬剤の場合には,筋肉注射は避けるべきである.新生児では筋肉量が少なく,特に部位の特定が困難な上腕

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