診療支援
治療

新生児の採血・採尿法
collection procedures for blood and urine specimen in the neonate
木下大介
(京都第一赤十字病院新生児科・副部長)

A.新生児の採血法

 新生児医療において,採血は実施頻度が高い手技である.目的に応じた適切な採血法で,安全,確実,迅速に検体採取する.タイミング調整,ホールディングや非栄養的吸啜などの痛みのケアについて事前うち合わせを行う.採血直前に確実な手指衛生を行い,未滅菌手袋を着用する.皮膚消毒は消毒用エタノールで行い,周囲に血液汚染がないように検体の採取と処理を行う.穿刺針は安全に廃棄し,十分な止血を行う.

1.静脈穿刺

 静脈採血は23~25G針を用いた針滴下法(ぽたぽた採血)による採血が一般的である.非利き手による固定・駆血が最大のポイントである.皮膚に適度なテンションをかけ,皮膚の赤みを十分に保ち,選定血管が怒張するように心がける.必要に応じて赤色LEDによるトランスイルミネーターなどを用いる.目標とする血管穿刺点の少し手前から,針の切り口を上に向けて穿刺する.針先が血管内に到達すると血液の逆流が認められるので,その位置で検体採取を行う.

2.足底穿刺

 足底採血は新生児特有の採血手技である.静脈穿刺時と同じく,穿刺部周囲の赤みを保つように固定・駆血を行う.穿刺には,安全機能付きのランセットや20~23G針を使用し,踵部を避けた適切な穿刺部位・深度を認識する.検体採取は採血管やキャピラリーを用いて行う.

B.新生児の採尿法

 無菌的採尿が必要な場合には,経尿道的にバルーンカテーテル,栄養カテーテル(4~6F)またはネラトンカテーテル(3~4F)を使用する.消毒薬には10%ポビドンヨードまたは塩化ベンザルコニウムを使用することが多い.また非無菌的採尿として,採尿バッグやカット綿・シリンジ法を用いてもよい.



参考文献

1)湯本悠子:小児検査のノウハウ 小児の検体採取のテクニック.臨床病理 62:766-774,2014

2)森 治郎,他:極低出生体重児に対する「カット綿・シリンジ採尿法」の有用性に関

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