診療支援
治療

新生児のモニタリング
neonatal monitoring
盆野元紀
(国立病院機構三重中央医療センター成育診療部・部長)

 妊娠中,胎児は臍帯から栄養補給を受けつつ子宮外の環境,病原体などから守られているが,妊娠が終了すると子宮外環境へさらされて,病原体の影響を直接受けるのみでなく,生存に必要な保温,哺乳などを自律して行わなくてはならない.NICU入院児では,呼吸・循環の自己調節機能が不安定または未熟であり,無呼吸や徐脈などlife-threatening eventに対して呼吸心拍モニターによる管理が不可欠である.

 ここでは主に血液サンプルを必要としない非観血的モニタリングについて概説する.

A.心電・呼吸モニター

 前胸郭に電極を貼付して心臓の電気信号を感受する.近年の技術革新で電極の軽量化や接着性が進み,500g未満,週数22~23週の未熟性の強い易侵襲性的な皮膚にも連続して装着可能になった.心拍モニターとしては,R波が大きく表示されるようⅡ誘導が通常使用される.呼吸も同じ電極で測定するが,電極間が近く胸郭運動が乏しい場合,呼吸をとらえられないこともあるので,呼吸,心拍とも検出可能な最適の波形になるよう電極の位置確認や感度調整をする必要がある.

 当院NICUでは,セントラルモニター経由で心拍・呼吸数,SpO2を一括して観察し,そのデータは一定期間記録され,その変化を以前のデータと比較することが可能である.

B.経皮酸素・炭酸ガス分圧モニター

 経皮酸素分圧(tcPO2)・炭素ガス分圧(tcPCO2)はセンサーを加熱して動脈血酸素分圧(PaO2),炭酸ガス分圧(PaCO2)を非侵襲的に測定できる方法であり,侵襲的手技によるストレスや頻回の採血による貧血を回避でき,新生児領域で普及してきた.センサーの膜交換作業も簡略化され,較正時間も短縮されて使いやすくなった.

C.その他のモニタリング

 脳波モニター(amplitude integrated EEG),近赤外線モニターなどがある.

 脳低体温療法の普及

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