●病態
・多胎では,胎児数が増えるほど早産,低出生体重での出生が多く,周産期の疾病罹患率や死亡率は高い.
・双胎妊娠においては,その膜性が児の予後に大きく関与する.二絨毛膜二羊膜(DD:dichorionic diamniotic)双胎に比べて,一絨毛膜二羊膜(MD:monochorionic diamniotic)双胎では死亡率やNICU入院率が高く,特に胎盤血管吻合における血流破綻を伴う場合には,生命予後,中枢神経予後は不良となる.
・双胎間輸血症候群(TTTS:twin to twin transfusion syndrome)に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP:fetoscopic laser photocoagulation of placental communication vessels)が開始されて以降,同症の死亡率および神経学的予後は改善されている.
・TTTSの定義を満たさないが,双胎間で羊水差を認める双胎間羊水不均衡(TAFD:twin amniotic fluid discordance)や,胎盤占有容積不均衡が主体の一児発育不全(sIUGR:selective intrauterine growth restriction)も,TTTSと同様にそれぞれの循環動態に応じた新生児期の観察・管理を行う必要がある.
・生殖補助医療によるDD双胎は移植胚数の制限により減少傾向にあるが,胚盤胞移植では単一胚移植であっても双胎となる頻度が高いことが指摘されている.
●治療方針
A.急性期管理
MD双胎ではTTTSの基準を満たしていなくても,生後に循環障害をきたしうることに留意して,慎重に観察・管理する.
1.TTTS受血児
血液移行により前負荷が増える一方で,供血児からのレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系ホルモンの移行による全身血管の収縮によ