診療支援
治療

FGR/SGA児(子宮内発育不全児)の管理
clinical management of small for gestational age infants
吉田丈俊
(富山大学附属病院周産母子センター・特命教授)

●病態

A.定義

・fetal growth restriction(FGR)児は,胎児体重の妊娠週数ごとの基準値より-1.5SD以下を目安に診断される.

・small for gestational age(SGA)児は,在胎週数に対して出生体重と身長が在胎期間別出生時体格標準値の10パーセントタイル未満である児と定義されている.

・late pretermやtermのSGA児のなかには,一定の割合でconstitutional SGA児(normal small)が含まれていることに留意する.

・SGA児はプロポーションによって大きく2つに分ける.

 a)symmetric SGA:頭部,躯幹ともに発育不全であり,染色体異常や先天性感染症など児自身に疾患を抱えていることが多い

 b)asymmetric SGA:頭部に比べ躯幹の発育が遅延している.妊娠第2期後期から第3期にかけて母体からの栄養が障害されたときに生じやすい

B.原因

・FGR/SGAを生じる原因として主に3つの要因が考えられる.

 a)母体要因:母体低栄養,基礎疾患(腎臓・心臓疾患,膠原病),高齢出産,薬物(アルコール,喫煙など)

 b)胎盤因子:臍帯付着異常,梗塞性病変,単一臍帯動脈,胎盤の感染など

 c)胎児因子:染色体異常,単一遺伝子異常症,先天性感染などがある.FGRをきたす感染症の原因微生物としては,サイトメガロウイルスが最も頻度が高い

●治療方針

 SGAの診断をする際に,児の成熟度と妊娠週数が適切かどうかを再確認する.SGA児と診断した場合には,以下のさまざまなリスクが表れることを念頭において管理する.

1.体温調節障害

 低体温になるリスクが高い.皮下脂肪不足による熱喪失や,子宮内での劣悪な栄養状態やストレスによるカテコールアミン低下による熱産生不足が原因と考えられる.特に早産児では,低体温に注意して適切な保育環境で管理

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