●病態

・新生児期に遭遇する心疾患は，新生児早期（生後1週以内）に動脈管が縮小することでチアノーゼや心不全・ショック症状などが顕性化する心疾患が多く，重篤な先天性心疾患といえる．

A．動脈管依存性からみた病型分類

　a）肺血流を動脈管に依存する疾患：重症肺動脈弁狭窄，純型肺動脈閉鎖，肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損，重症Fallot（ファロー）四徴症など

　b）体血流を動脈管に依存する疾患：左心低形成症候群，大動脈縮窄，大動脈弓離断，重症大動脈弁狭窄など

　c）その他

・完全大血管転位でも新生児期に大血管変換術（Jatene手術）を行う場合には，動脈管を開存させて左室圧を低下させないことが必要となる．

・肺血流の多少により，症状は呼吸症状主体かチアノーゼ主体かが決まる．

・症状は呼吸症状が主体であり，日齢とともに肺血管抵抗が低下して肺うっ血が増強し，症状が強くなる，

・左心低形成症候群，大動脈縮窄複合（大動脈弓離断複合），総動脈幹症，房室中隔欠損，心室中隔欠損，動脈管開存，心房中隔欠損など．ただし総肺静脈還流異常，大血管転位などはチアノーゼも伴う．

・症状の主体はチアノーゼである．肺疾患でもチアノーゼは生じるが，肺疾患に比し呼吸症状はむしろ落ち着いているものが多い．

・肺動脈閉鎖，重症肺動脈弁狭窄，Fallot四徴症などが含まれる．なお両大血管右室起始や三尖弁閉鎖は，肺動脈狭窄・閉鎖の合併があれば肺血流減少で，なければ増加となる．

　動脈管依存性心疾患では不可欠な薬剤である．現在，プロスタグランジン製剤にはLipo PGE₁とPGE₁（PGE₁-CD）の2種類がある．Lipo PGE₁は，より少量で効果があることから副作用は少ない反面，作用発現はPGE₁より遅い．迅速な効果を期待する場合にはPGE₁のほうが即効性もあ