診療支援
治療

13トリソミー症候群
trisomy 13 syndrome
大橋博文
(埼玉県立小児医療センター遺伝科・部長)

●病態

・常染色体数的異常症であり,Patau(パトウ)症候群とも称される.

・13番染色体が1本増えて3本となるトリソミー型が多いが,10~20%はロバートソン転座である.

・生存期間の中央値は7日,1年生存率は9%とされる.しかし乳児期を超えての長期生存例もある.

・頻度は約15,000人に1人である.

●治療方針

 児の短い生命予後の見通しを予断することなく,日ごと,月ごと,年ごとといったスタンスで児の状態に応じて,「子どもの最善の利益」を家族とともに慎重かつ柔軟に求めていくことが基本的な姿勢として重要である.

A.主な合併症

 中枢神経系(全前脳胞症,小脳低形成,脳梁欠損,けいれん),循環・呼吸器(心房中隔欠損,心室中隔欠損,動脈管開存,無呼吸),消化管(腸回転異常,胃食道逆流,臍帯ヘルニア),眼科(小・無眼球,コロボーマ,網膜異形成),耳鼻科(難聴),泌尿器(腎嚢胞,水腎症,停留精巣),骨格系(多指趾症),その他(口唇口蓋裂,頭皮欠損).

B.健康管理

 生後すみやかに呼吸・循環機能の蘇生とともに集中治療を行う.合併症評価のために生後早期に心エコー,頭部・腹部画像評価,聴覚評価,眼科診査を行い,各合併症に対する治療を行う.侵襲的な治療介入(心疾患の手術など)については,児の状態を考慮し,その負担と利益のバランスを熟慮して決定する.経口哺乳の困難があれば経管栄養を行う.

 生後半年後以降には状態に留意しながら離乳食などの摂食指導も行う.乳児期からの理学療法による呼吸機能支援,運動機能発達支援を考慮する.その後も成長と発達ならびに合併症の評価と対応を継続する.

C.家族支援

 重要な治療方針の検討などでは,家族もその意思決定のプロセスにできるだけ参加し,その意見も十分に尊重する.在宅生活では,ソーシャルワーカーや地域保健師とも連携をはかり,訪問看護,レスパイトケアなども活用する.特別児童扶養手

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