診療支援
治療

Kallmann症候群
Kallmann syndrome
青山幸平
(名古屋市立大学大学院新生児・小児医学)

●病態

・ゴナドトロピン(LH/FSH)の分泌不全による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に無(低)嗅覚症を伴う場合に,Kallmann(カルマン)症候群と診断する.

・男児では小陰茎・停留精巣を伴いうる.男女ともに2次性徴の未発来や進行停止が問題となり,重症度に幅がある.

ANOS1FGFR1など,20以上の責任遺伝子が知られている.

●治療方針

 男児では,乳幼児期に小陰茎,停留精巣に対する治療を行う.無(低)嗅覚症に対する治療は存在しない.男女ともに思春期時期に2次性徴の誘導・維持を行う.

A.男児の小陰茎に対して(生後3~6か月頃)

Px処方例

エナルモンデポー注 1回25mg 4週ごとに1~3回 筋注

B.男児の思春期の誘導・維持

Px処方例 ➊➋のいずれか,または➋➌を併用する.➋は血中テストステロン値が成人基準値内になるように量を調整する.

➊エナルモンデポー注 1回12.5mg 筋注 4週ごとで開始し,6か月ごとに25,50,75,100,125,150,200mgと漸増.1回125mg 2週ごと,または1回250mg 3~4週ごとで維持

➋ゴナトロピン注 1回100単位 週1回 皮下注から開始.6か月ごとに200,500,1,000,1,500,2,000単位と漸増.1,000~5,000単位を週1~3回で維持

➌ゴナールエフ皮下注ペン 1回12.5~50IU 週1回 皮下注から開始.6~12か月ごとに25,50,75,150IUと漸増.75~150IUを週1~3回で維持

C.女児の思春期の誘導・維持

Px処方例 下記➊または➋で開始し,➊または➋の最大量が6か月以上経過するか,月経発来したところで,➌➎または➍➎を併用し,Kaufmann(カウフマン)療法を行う.

➊プレマリン錠(0.625mg) 1回1/10錠 1日1回から開始.6~12か月ごとに1/4,1/2,1錠と漸

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