診療支援
治療

Cornelia de Lange症候群
Cornelia de Lange syndrome
黒澤健司
(神奈川県立こども医療センター遺伝科・部長)

●病態

・Cornelia de Lange(コルネリア・デ・ランゲ)症候群は,知的障害・発達遅滞,低身長,四肢の奇形,特徴的顔貌など一連の症状からなる先天異常症候群である.

・指定難病(310番先天異常症候群)に登録されている.A.大症状〔1.眉毛癒合,2.知的障害,3.成長障害(身長ないし体重が3パーセンタイル未満)〕,とB.小症状(1.長い人中または薄い上口唇,2.長い睫毛,3.小肢症,第5指短小または乏指症)の組み合わせからなる.

・発生頻度は約3~5万出生に1例とされる.責任遺伝子として,NIPBL(臨床診断例の60%で検出),SMC1A(5%),RAD21(<1%),SMC3(1~2%),HDAC8(~4%),BRD4遺伝子などの原因遺伝子に変異を認める.

・しかしこれらの遺伝子に変異を認めない例も20~30%いる.これらの遺伝子産物はコヒーシン複合体を構成し,細胞分裂の姉妹染色分体の接着にかかわる.

●治療方針

 根本的治療法はなく対症療法が中心となる.先天性心疾患に対する心臓超音波による精査は必要である.新生児期哺乳不良が目立つ場合には,経管栄養も考慮する.胃食道逆流とそれに伴う誤嚥が特徴で,腸回転異常を伴うこともある.反復する誤嚥性肺炎や経口摂取の困難例では,胃瘻などの対応も考慮する.

 てんかんに対しては抗てんかん薬も併用する.四肢の形態異常に対しては形成外科ないしは整形外科的対応,尿道下裂では泌尿器科受診が必要となる.知的障害・発達遅滞の個体差は大きく,身辺自立可能な例から重症例まである.早期の療育訓練の対応も重要である.ほかに眼科検診や聴覚検診も必要である.

 臨床的に顔貌特徴が共通する症候群〔Coffin-Siris(コフィン・サイリス)症候群や3qトリソミー症候群〕があり,診断には慎重を要す.総合的に医療管理を組み立てる診療科による定期医療管理は重要で,乳児期は

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