診療支援
治療

Rubinstein-Taybi症候群
Rubinstein-Taybi syndrome(RSTS)
蒔田芳男
(旭川医科大学病院遺伝子診療カウンセリング室・教授)

●病態

・Rubinstein-Taybi(ルビンスタイン・テイビ)症候群は,特有の顔貌,幅広い母指趾,低身長,精神発達遅滞を特徴とする多発奇形症候群である.

・原因遺伝子はヒストンのアセチル化を通じてクロマチン構造の制御を行う遺伝子であり,症状の多面性はクロマチン病としての性格を表しているものと考えられる.出生頻度は10万に1人と推定されている.

●治療方針

A.新生児期~乳幼児期

 哺乳障害,体重増加不良などを認める.胃食道逆流や便秘を認める頻度が高く,積極的な介入が必要となる場合がある.上気道炎や中耳炎も反復しやすい.先天性心疾患,眼科学的異常(斜視,白内障,屈折障害)の合併も知られており精査が必要である.男児では停留精巣の頻度が高い.

B.学童期~思春期

 幼児期と異なり肥満傾向が出現することが多く,栄養指導を必要とする場合がある.

C.その他の合併症

1.腫瘍の発生

 多くの奇形症候群と同様に腫瘍の発生率が一般に比べ高い.腫瘍の多くは神経堤由来であり小児期の発生が多い.例外的に髄膜腫は40歳前後での発症が多いとされている.

2.骨格系

 頸椎後弯,脊椎側弯などがみられることが多い.本症候群では膝蓋骨(亜)脱臼の合併が特徴的であり,注意が必要である.

3.皮膚

 いわゆるケロイド体質の傾向があり,創傷の処置には注意を要する.また石灰化上皮腫の報告もある.

4.低身長

 低身長は出生後始まるパターンをとることが多い.平均最終身長は男性で約152cm,女性で約143cmである.

5.療育

 患児の親の会「こすもす」(http://2st.jp/Rcosmos/)があり,情報交換を通じて活動を行っている.体重増加不良や精神発達遅滞に対しては積極的な療育介入が必要であり,多職種の協力を得る必要がある.言語発達は個人差も大きく言語表出ができない児には,サインなどでコミュニケーションをとる方法(マカトン法など)な

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