●病態
・先天的な解糖系の酵素欠損により,ATPの産生不全,非代謝物質の蓄積,ほかの代謝系への影響などから骨格筋症状をきたす疾患である.
・筋型糖原病としては,現在0型からXV型糖原病とホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK:phosphoglycerate kinase)欠損症の14病型が報告され,固定性の筋力低下を主症状とするⅡ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅻ,XV型と,労作時の筋痛,筋硬直,横紋筋融解を主体とする0,Ⅲ,Ⅴ,Ⅶ,Ⅷ(Ⅸ),Ⅹ,Ⅺ,Ⅻ,ⅩⅢ,XIV型,PGK欠損症に分けられる.
・クレアチンキナーゼ(CK)値が運動により急激に上昇し,安静により正常値または軽度高値を示す.好気性前腕運動負荷試験は有効な鑑別方法で,Ⅱ型以外は乳酸値が上昇しない.筋生検,酵素活性測定をもとに,遺伝学的検査で確定する.
・Ⅴ型(McArdle病)は,運動負荷により,運動不耐,筋痛,筋硬直,横紋筋融解が引き起こされる.6~8分運動を続けると,症状が軽快する特徴的なsecond wind(セカンドウインド)現象を半数に認める.1/4に進行性筋力低下を認める.
・Ⅶ型(垂井病)は,症状はⅤ型に類似するが,セカンドウインド現象は認めない.網赤血球増加など溶血亢進の所見も認める.
●治療方針
横紋筋融解を避けるため,急激な運動を避け,準備運動を行って運動を始める指導を行う.横紋筋融解を起こした場合は,急性腎障害,高カリウム血症への対策として大量輸液,尿アルカリ化,血液透析を考慮する.
A.ビタミンB6療法
Ⅴ型でエビデンスレベルは高くないが,有効性を示す報告がある.1日25~50mgを服用し,血中濃度をピリドキサールで50~100ng/mLとなるように調節する.副作用を定期的にチェックする.
B.高炭水化物食,ショ糖,コーンスターチ摂取
Ⅴ型などグルコースリン酸より上流では,運動前のコーンスターチ,ショ糖摂取により運動機能の改
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