●病態
・ビオプテリンは芳香族アミノ酸の水酸化酵素の補酵素としての重要な役割を担っており,その先天的な欠損症は特有の臨床像を呈する.
・発達の遅れ,不随意運動やてんかん発作,精神症状をきたす.Oculogyric crisesとよばれる特有の眼球運動障害が現れることもある.
・新生児マススクリーニングにて高フェニルアラニンで発見される疾患としては,GTPシクロヒドロラーゼⅠ(GTPCH)欠損症(OMIM 233910)と6-ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ(PTPS)欠損症(OMIM 261640),再生系酵素のジヒドロプテリジンレダクターゼ(DHPR)欠損症(OMIM 261630)とプテリン-4α-カルビノールアミンデヒドラターゼ(PCD)欠損症(OMIM 264070)が存在する.
●治療方針
第一に,新生児マススクリーニングにて発見された場合には,プテリジン分析とDHPR活性測定にてフェニルケトン尿症との鑑別と病型診断を確実に行う.
治療の原則は,欠損するBH4を補充するだけではBH4が脳血液関門を通過できず,神経症状が進行する.したがって,神経伝達物質前駆体(L-DOPA,5-HTP)の補充療法の併用が必須となる.セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症(OMIM 612716)では高フェニルアラニン血症をきたさないため,発見が遅れるので注意が必要である.
Px処方例 下記➊~➌を併用する.DHPR欠損症には➍も併用する.
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