診療支援
治療

ビオプテリン代謝異常症
disorders of biopterin metabolism
濱崎考史
(大阪市立大学大学院発達小児医学・教授)

●病態

・ビオプテリンは芳香族アミノ酸の水酸化酵素の補酵素としての重要な役割を担っており,その先天的な欠損症は特有の臨床像を呈する.

・発達の遅れ,不随意運動やてんかん発作,精神症状をきたす.Oculogyric crisesとよばれる特有の眼球運動障害が現れることもある.

・新生児マススクリーニングにて高フェニルアラニンで発見される疾患としては,GTPシクロヒドロラーゼⅠ(GTPCH)欠損症(OMIM 233910)と6-ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ(PTPS)欠損症(OMIM 261640),再生系酵素のジヒドロプテリジンレダクターゼ(DHPR)欠損症(OMIM 261630)とプテリン-4α-カルビノールアミンデヒドラターゼ(PCD)欠損症(OMIM 264070)が存在する.

●治療方針

 第一に,新生児マススクリーニングにて発見された場合には,プテリジン分析とDHPR活性測定にてフェニルケトン尿症との鑑別と病型診断を確実に行う.

 治療の原則は,欠損するBH4を補充するだけではBH4が脳血液関門を通過できず,神経症状が進行する.したがって,神経伝達物質前駆体(L-DOPA,5-HTP)の補充療法の併用が必須となる.セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症(OMIM 612716)では高フェニルアラニン血症をきたさないため,発見が遅れるので注意が必要である.

Px処方例 下記➊~➌を併用する.DHPR欠損症には➍も併用する.

➊ビオプテン顆粒(2.5・10%) 1回2~20mg/kg(成分量として) 1日1回(1回量を2~3回分割投与可).血中フェニルアラニン値を正常化できるよう投与量を調整

➋メネシット配合錠(100・250mg) 1回2~5mg/kg(レポドパとして) 1日3~4回.眠気,こわばりなどの症状にて投与量,間隔を調整する.血中プロラクチン値も参考になるが,

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