診療支援
治療

高チロシン血症
hypertyrosinemia
呉 繁夫
(東北大学大学院小児病態学・教授)

●病態

・血中チロシン濃度は,肝障害など種々の原因で上昇する.遺伝性高チロシン血症としては,チロシン異化経路上の3種類の酵素欠損症(Ⅰ~Ⅲ型)が知られており,いずれも常染色体劣性遺伝形式をとる.

・最も重症なのがⅠ型であり,フマリルアセト酢酸ヒドロラーゼ(FAH)が欠損し,細胞毒性のあるフマリルアセト酢酸などが肝細胞や尿細管上皮細胞に蓄積する.新生児期や乳児期から肝障害や近位尿細管障害が進行するため,無治療では肝不全による死に至る.慢性に進行した場合,肝硬変や肝癌が発生する.

・Ⅰ型の鑑別診断には,ろ紙血タンデムマス試験や尿有機酸分析によりサクシニルアセトン濃度上昇の確認が有用である.

・Ⅱ型は細胞質チロシンアミノ基転移酵素(TAT)の欠損症で,チロシンの針状結晶が析出し,手掌・足底の角化・びらん,角膜のびらん・潰瘍を呈する.

・Ⅲ型は最も軽症で,4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素(HPD)の

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