診療支援
治療

ペルオキシソーム病
peroxisomal disease
今中常雄
(広島国際大学薬学部生化学・客員教授)

●病態

・ペルオキシソームは極長鎖脂肪酸のβ酸化,プラズマローゲンの生合成,コレステロールの胆汁酸への変換などに関与し,その形成と機能の障害はペルオキシソーム病とよばれる重篤な疾患の原因となる.

・ペルオキシソーム形成異常症と酵素蛋白質の遺伝子変異による単一酵素異常症に分類される.

・重篤度は,ペルオキシソーム形成や機能にかかわる蛋白質の役割と,変異蛋白質に残存する活性の程度に依存している.

●治療方針

 根本的な治療法はなく対症療法が主である.軽症例では代謝異常に応じた補充療法や食事制限,臓器移植が有効な例もある.なお「副腎白質ジストロフィー」については前項参照のこと.

A.ペルオキシソーム形成異常症

 出生直後より筋緊張低下,哺乳障害,けいれんなどがみられる.対症療法が中心となる.軽症の乳幼児Refsum(レフサム)病では,プラズマローゲンやDHA(ドコサヘキサエン酸)の補充療法やフィタン酸を含む食事を制限する.肝移植が有効な例もある.

B.Refsum病

 分枝脂肪酸のα酸化を担う酵素が欠損しているため,フィタン酸が蓄積して発症する.フィタン酸は食事に由来するため,ウシなどの反芻動物の脂肪,乳製品を厳しく制限する食事療法を行う.

C.根性点状軟骨異形成症(RCDP)2~4型

 プラズマローゲンの生合成にかかわる酵素が欠損しているために,体内(特に脳)のプラズマローゲン量の低下が発症の一因となる.アルキルグリセロールやプラズマローゲンの投与による効果が期待される.

D.無カタラーゼ血症

 口内炎による歯肉部の進行性の壊死を特徴とする.口腔内の衛生管理,抗菌薬の投与,外科的処置を行う.

E.原発性高シュウ酸尿症Ⅰ型

 酵素の欠損によりグリオキシル酸が蓄積した結果,過剰にシュウ酸が産生され,不溶性のシュウ酸カルシウムが腎臓をはじめ全身の臓器に沈着する.シュウ酸結石を抑制するため,多量の水分摂取,マグネシ

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