診療支援
治療

骨形成不全症
osteogenesis imperfecta(OI)
菅野潤子
(東北大学大学院小児病態学・講師)

●病態

・骨形成不全症(OI)は骨脆弱性,易骨折性,骨変形,青色強膜,歯牙形成不全,難聴などを特徴とする遺伝性の骨粗鬆症である.

・周産期致死性からほとんど骨折を認めない軽症まで重症度には幅がある.現在はSillence分類に基づく1~4型に,5型を加えた5つに分類される.2型が最重症で多くは致死性,1型が最も軽症である.

・OIはⅠ型コラーゲンの質的・量的異常により発症し,患者の多くはⅠ型コラーゲンのα鎖をコードするCOL1A1COL1A2の変異が原因で常染色体優性遺伝形式をとる.グリシンがほかのアミノ酸に置換されるミスセンス変異は重症で(質的異常),ナンセンス変異(量的異常)は軽症である.近年,Ⅰ型コラーゲンの水酸化にかかわる分子(LEPRE1CRTAPPPIB)をはじめ,常染色体劣性遺伝形式のOIの原因遺伝子が次々と報告されているが,その頻度はまれである.

●治療方針

A.パミドロネート治療

 OIの易骨折性および低骨密度に対する経静脈的パミドロネート治療の有効性が報告されている.骨組織像の検討では皮質骨の幅が太くなるという結果が報告され,このことが骨強度の増加や骨密度の増加につながると考えられる.海綿骨も増加する.早期治療による予後改善効果が期待される.日本小児内分泌学会薬事委員会で「骨形成不全症の診療ガイドライン」が作成され,パミドロネート治療の手順が記載されている.パミドロネートは2014年に保険収載されている.

Px処方例

パミドロン酸二Na注 下記の量で4時間以上かけて,3日間連続点滴静注.この投与を1クールとし,下記の間隔で投与を繰り返す.生理食塩液または5%ブドウ糖注射液で0.1mg/mL以下の濃度となるように希釈して使用する.ただし,1日投与量は60mgを超えないようにする.初回治療導入時の1回目の投与量は下記の半量とする.

 2歳未満:1回0.5mg/kg 1

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