診療支援
治療

McCune-Albright症候群
McCune-Albright syndrome(MAS)
長谷川高誠
(岡山大学病院小児科・講師)

●病態

・McCune-Albright(マッキューン-オールブライト)症候群(MAS)はカフェオレ斑,線維性骨異形成,思春期早発症を三徴とする症候群である.思春期早発症は女児に多く,通常ゴナドトロピン非依存性(末梢性)であるが,エストロゲンへの持続的な曝露によりゴナドトロピン依存性(中枢性)への移行を示す例もある.

・MASの内分泌合併症には思春期早発症以外に甲状腺機能亢進症,下垂体性巨人症/先端巨大症,Cushing症候群などがある.これらは多くのG蛋白共役型受容体のシグナル伝達にかかわるGsα蛋白をコードするGNAS1遺伝子の体細胞レベルでの構成的活性型変異が原因とされている.

・また低リン血症をきたす例では,リン利尿因子である線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の関与が示唆されている.MASでは上記の症状が必ずしもすべて揃うわけではなく,症例ごとに臨床像の多様性がある.

●治療方針

A.思春期早発症

 思春期発達が継続,進展する場合に治療を行う.

 女児の末梢性のものに対してはプロゲステロン製剤による治療を行う.アロマターゼ阻害薬や抗エストロゲン薬による治療の報告もある.中枢性への移行例に対してはLH-RHアナログによる治療を行う.MASにおいて男児の思春期早発症はまれであるが,抗アンドロゲン薬とアロマターゼ阻害薬による治療の報告がある.

Px処方例 女児の末梢性のものに対しては➊,中枢性に移行した場合は➋を用いる.

➊プロベラ錠(2.5mg) 1回5~7.5mg 1日2回

➋リュープリン注 1回30~180μg/kg 4週ごと 皮下注

B.FGF23関連低リン血症

 活性型ビタミンD製剤に中性リン製剤を併用して治療を行う.治療中は,高カルシウム尿症や三次性の副甲状腺機能亢進症に留意する.

Px処方例 下記を併用する.

アルファロール内用液(0.5μg/mL) 1回0.05~0.1μg/

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