診療支援
治療

1型糖尿病
type 1 diabetes mellitus
浦上達彦
(日本大学小児科学・診療教授)

●病態

・1型糖尿病は,膵β細胞の破壊による内因性インスリン不足により発症し,通常は絶対的なインスリン欠乏に陥る.

・診断では,インスリン分泌の低下~欠乏(空腹時C-ペプチド値<0.6ng/mLあるいはグルカゴン負荷後のC-ペプチド頂値<1.0ng/mL未満,24時間尿中C-ペプチド値<20mg)と膵島特異的自己抗体(GAD抗体,IA-2抗体など)の検出が有力な指標になる.

●治療方針

 治療の基本はインスリン療法であり,多くの症例は頻回インスリン注射療法あるいは持続皮下インスリン注入療法(CSII:continuous subcutaneous insulin infusion)による基礎-追加インスリン療法で治療される.

A.頻回インスリン注射療法

 各食前に追加インスリンを注射し,1日1~2回基礎インスリンを注射する.追加インスリンには超速効型インスリン,基礎インスリンには持効型溶解インスリンが使用されることが多い.食前の追加インスリンは,食事の炭水化物量に応じて投与量を調節するカーボカウントが普及してきている.1日インスリン使用量は0.5~1.5単位/kg・体重であり,追加インスリンと基礎インスリン量の比率は,基礎インスリンが全体の30~40%になる.

Px処方例 下記のいずれかを用いる(ペン型注入器を使用).

➊追加インスリン:ノボラピッド注 炭水化物10gに対して0.5~1単位 各食前に皮下注 食前血糖値が目標血糖値(100mg/dL)より50~100mg/dL高いごとに1単位ずつ追加する(150~200mg/dLで1単位追加.この調節方法をカーボカウントという).

 基礎インスリン:トレシーバ注 就寝前に10単位 皮下注

➋追加インスリン:ヒューマログ注あるいはアピドラ注 皮下注 投与量の調節は➊と同じ.

 基礎インスリン:ランタス注 朝食直前に4単位,夕食直前に6単位,

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