診療支援
治療

周期性嘔吐症候群
cyclic vomiting syndrome
田中 学
(埼玉県立小児医療センター総合診療科・科長)

●病態

・周期的に繰り返す強い嘔吐と悪心を特徴とし,間欠期には無症状で,個々の患者で毎回同様の発作様態を示す.

・発作は1時間以上続き,各々の発作は1週間以上の間隔をあけて起こる.消化管疾患,感染症,代謝・内分泌的異常といったほかの疾患を除外して診断される.

●治療方針

 患者に同様の発作症状の既往があれば判断は比較的容易だが,嘔吐や悪心のほかの原因(特に消化管疾患,代謝異常および薬剤中毒)の可能性を除外しながら全身管理と並行して治療にあたる.

A.発作時

Px処方例 軽症の場合は➊を用いる.片頭痛発作の対応に準じて➋を用いる場合は,なるべく早期に投与することが望ましい(小児量は設定されていない).

➊アタラックス-P注 1回1mg/kg 静注 4~6時間ごと

➋イミグラン注 1回3mg 皮下注,またはイミグラン点鼻液 1回20mg 点鼻 初回と2回目の間隔は1時間以上,1日2回まで

B.予防的治療

 発作頻度が高い(1か月に1回以上)場合は予防的な内服が推奨される.

Px処方例 5歳未満での第1選択は➊で,5歳以上では➋~➍のいずれかを用いる.➌は単剤あるいは他剤との併用で用いられる.

➊ペリアクチン散 1回0.125~0.25mg/kg(成分量として) 1日2回

➋インデラル錠(10mg) 1回0.125~0.5mg/kg 1日2回

➌デパケンシロップ 1回10~20mg/kg(成分量として) 1日2回

➍トリプタノール錠(10mg) 開始量:1回0.2~0.3mg/kg,維持量:1回1~1.5mg/kg 1日1回 就寝前

■患児・家族説明のポイント

・嘔吐発作は精神的・身体的ストレスで誘発されるものが多く,患児において誘発因子となったものをできるだけ避けることで発作の機会を減少させることが多い.

・本症は自然軽快するといわれているが,通常は年単位の期間を要する.



参考文献

1)Li BU,et

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