診療支援
治療

ウイルス性胃腸炎
viral gastroenteritis
大石智洋
(川崎医科大学小児科学・准教授)

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[感]感染性胃腸炎:5類

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●病態

・ウイルス性胃腸炎は,その原因として,小児ではロタウイルスやノロウイルスなどがあげられる.

・細菌性腸炎の特徴である明らかな血便や強い腹痛などの有無や,周囲の流行状況を把握することが重要である.

●治療方針

 まず重要なのは,脱水の重症度を評価することである.具体的には体重の3%未満の喪失を軽度,体重の3~9%以下の喪失を中等度,体重の9%を超える喪失を重症とするが,実際は体重が不明なこともあるため,精神状態,口渇,心拍数,呼吸数,流涙の有無,口腔や舌の乾燥の有無,皮膚のツルゴール,毛細血管充満時間,四肢冷感の有無,尿量異常の有無などをチェックする(これらの所見に異常がなければ軽度である).

 重度の脱水や,重篤な電解質異常(主にナトリウム)を伴う場合,経静脈輸液療法を考慮する.

 中等度以下の脱水のある場合は,経口補水療法が考慮される.具体的には喪失した水分を3~4時間で補充し,嘔吐している症例に対しては5mL(ティースプーン1杯程度)の経口補水液を5分ごとに与える.

 その他,下痢の期間を短縮する可能性のある整腸薬や,制吐薬も考慮されることがある.

Px処方例

 〔重度の脱水(または電解質異常を伴う)例〕

➊輸液用電解質液(生理食塩液など)(流量は他項に譲る)

 (中等度以下の脱水例)

➋経口補水液(OS-1など) 嘔吐を伴う例では少量(5mL程度)を頻回に与える(患児が経口補水液を嫌がる場合は,塩分を含んだ重湯,お粥,野菜スープ,チキンスープなどで代用する)

(下痢の著明な症例)

➌整腸薬(ラックビー微粒N 1回0.03~0.04g/kg 1日3回など)

(嘔吐の著明な症例)

➍制吐薬(ナウゼリン坐剤 3

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