診療支援
治療

クラミジア・トラコマティス感染症
Chlamydia trachomatis infections
宮入 烈
(国立成育医療研究センター感染症科・診療部長)

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[感]性器クラミジア感染症:5類

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●病態

・小児におけるクラミジア・トラコマティス(以下クラミジア)感染症は,母子感染による新生児クラミジア感染症と,性的な接触に伴うクラミジア感染症に大別される.

・新生児クラミジア感染症は,生後数日から数週間以内に結膜炎や特徴的な無熱性肺炎を呈する.

・性感染症としてのクラミジアは,男性において尿道炎や精巣上体炎をきたしうる.女性の場合は子宮頸管炎,骨盤腹膜炎をきたし卵管狭窄による不妊の原因となる.男女ともに無症候性のことが多い.

・小児におけるクラミジア感染症は,性的な虐待を示唆する所見であり慎重な対応が必要である.

●治療方針

 新生児クラミジア感染症に対する治療として,原則はマクロライド系抗菌薬の内服治療が行われる.結膜炎に対する点眼薬の有用性は不確かであり,また気道感染症が併存している可能性があるため,内服抗菌薬による全身投与を行う必要がある.ただし早期乳児に対するマクロライド系抗菌薬の投与は,肥厚性幽門狭窄症発症のリスクを伴うため,十分な説明と投与後の観察が必要である.

A.新生児クラミジア感染症

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊エリスロシンドライシロップW(20%) 1回12.5mg/kg(成分量として) 1日4回 14日間

➋ジスロマック小児用細粒 1回20mg/kg(成分量として) 1日1回 3日間〔日本の添付文書上は1日10mg/kg(成分量として)までであることに注意〕

 性感染症の治療は,成人に準じてマクロライド系抗菌薬あるいはドキシサイクリンで行う.しかし8歳未満の小児や妊娠中のドキシサイクリン投与は,歯牙着色をきたすため原則使用しないこととなっている.骨盤内炎症性疾患

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