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[感]腸管出血性大腸菌感染症:3類 [学]腸管出血性大腸菌感染症:3種(病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで)
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●病態
・大腸菌の多くは病原性がなく,腸管内に常在する.病原性大腸菌は下痢原性大腸菌と腸管外病原性大腸菌に大別され,下痢原性大腸菌は6つに分類される.本項では腸管出血性大腸菌感染症(EHEC:Enterohemorrhagic E.coli)について述べる.
・経口感染後3~5日の潜伏期間を経て,ベロ毒素による出血性腸炎を呈する.無症候から強い腹痛,血便,頻回の下痢といった重症例までさまざまである.
・初発症状から2週間以内で溶血性尿毒症症候群を併発し,国内では年間100例前後が報告されている.溶血性尿毒症症候群では腎障害のみならず,神経学的後遺症をきたしたり死亡したりすることがある.
・感染症法3類疾患であり,直ちに届け出る.
・これまで各地域で発生した事例を共有できるシステムがなかったが,2018年6月,食品衛生法改定により食品衛生管理の国際標準化と迅速で広域的な食中毒事案への対策が強化された.
・疫学的関連が不明な散発例間で同一の遺伝子型を示す菌株が広範から分離されることがわかった.
●治療方針
補液による脱水症治療と電解質補正が重要である.軽症の場合は経口補水が第1選択となる.腹痛が強い場合は腸重積や消化管穿孔を鑑別しながら,全身状態を観察する.
A.中等症以上で経口摂取が不可能である場合
点滴で細胞外液を1時間で10~20mL/kgを投与する.血液検査をする場合は,電解質やアシドーシスとともに,溶血性尿毒症症候群を示唆する血小板低下,LDH上昇,腎機能も評価する.腸炎によるイレウスで経