診療支援
治療

レプトスピラ症
leptospirosis
大宜見 力
(米国ワシントン大学小児感染症科)

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[感]4類

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●病態

・ネズミなどの保菌動物の尿から排泄されたレプトスピラが,粘膜や皮膚の擦過創を介して体内に侵入することで引き起こされる人獣共通感染症である.

・小児では特に淡水や動物との接触歴が重要である.

・典型的な臨床経過は二相性で,最初の敗血症期(眼球結膜充血やインフルエンザ様の非特異的症状)と,それに続く免疫期(髄膜炎やぶどう膜炎など)に分かれる.

・症例によって敗血症期のみで軽快する場合とワイル病(黄疸,腎不全,出血,心筋炎)といわれる重症型において,敗血症期と免疫期の境界がはっきりしない場合がある.

・レプトスピラは血液,尿,髄液から検出され,コルトフ培地などの専用培地を用いた培養検査,ペア血清(2~3週間間隔),PCRなどを用いて診断は可能である.

●治療方針

 一般的には自然軽快する疾患であるが,治療開始が早ければ早いほど治療効果は高く症状改善の促進とワイル病への進行予防を期待して,診断が疑われた時点で抗菌薬を開始する.

 治療期間は7~10日間.抗菌薬投与開始数時間以内は発熱,頭痛,筋肉痛,低血圧などのJarisch-Herxheimer(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー)反応が起こることがあるため注意を要する.

A.重症例(ワイル病)

Px処方例 ➊を第1選択として,ほかには➋などが用いられる.

➊ペニシリンGカリウム注 1回6万単位/kg 1日4回(成人量最大1日1,200万単位) 点滴静注

➋ロセフィン注 1回50mg/kg 1日1回(成人量1日2g) 点滴静注

 輸液・電解質管理,透析,呼吸管理(肺出血)などの補助療法を適宜行う.

B.軽症例

Px処方例 下記の薬剤などが用いられる.

➊サワシリン細粒 1回15mg/k

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