診療支援
治療

横隔膜弛緩症
eventration of the diaphragm
新田晃久
(獨協医科大学埼玉医療センター小児科・准教授)

●病態

・筋や神経の異常により横隔膜の緊張が低下し,横隔膜全体が挙上した状態をいう.原因は先天性と後天性に分類される.

・先天性の場合は比較的まれで,胎生8~12週頃の胸腹裂孔膜の発達が不十分なために,横隔膜全体あるいは一部が胸腔に向かって挙上する.また,胎児期のウイルス感染による神経炎に起因するとされ,出生前診断の報告もある.

・後天性の場合は頻度が高く,分娩外傷や先天性心疾患手術時の横隔神経損傷によるものが多い.

・先天性および後天性ともに男児に多く,左側に発生しやすいが,両側性に発生するものもある.また横隔膜全体が挙上することが多いが,部分的に挙上することもある.

・用語として横隔膜挙上症(eventration of the diaphragm),横隔膜弛緩症(relaxation of diaphragm)が混在するが,明確には区別されていない.

A.症状

・横隔膜の奇異性運動による換気障害の

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