診療支援
治療

消化管ポリープ・ポリポーシス
intestinal polyps and polyposis
田中 潔
(北里大学小児外科学・教授)

 ポリープとは消化管内腔に突出した限局性の隆起性病変の総称であり,多発するものをポリポーシスとよぶ.下血を契機に発見されることが多いが,腸重積,肛門からのポリープ脱出,自然脱落などで発見されることもある.また多発例では,蛋白漏出性胃腸症を発症することがある.

A.若年性ポリープ

 小児期に発生するポリープの9割を占め,幼児期に好発する.7割はS状結腸から直腸に発生し,多くは単発性である.有茎性から亜有茎性ポリープで,組織学的には炎症性肉芽腫に類似する間質と小嚢胞状の腺管からなる過誤腫と考えられている.癌化はまれである.

 治療は,内視鏡下のポリープ摘除が原則である.直腸発生例では経肛門的摘除が可能なことがあるが,ポリポーシス除外のために全大腸の検索が必要である.

B.若年性ポリポーシス

 胃から直腸までの全消化管に若年性ポリープが多発する.常染色体優性遺伝形式を示し,若年性ポリポーシス家系の9~50%で癌化するといわれており,大腸癌が多い.

 治療は,定期的内視鏡検査と必要に応じてポリープ摘除を行う.消化管切除が考慮されることもある.

C.家族性大腸ポリポーシス

 大腸に腺腫性ポリープがびまん性に多発する.ほとんどが常染色体優性遺伝を示すが,一部常染色体劣性遺伝を示すものがある.放置するとほぼ100%癌化する.デスモイド,十二指腸乳頭部腫瘍,骨,歯牙病変などを伴うことがある.

 治療は,20歳代で予防的大腸全摘術を行うことが推奨されている.

D.Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群

 食道以外の消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・口唇口腔粘膜の黒褐色色素斑を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患で,ポリープは小腸に好発し,腸重積の原因となる.

 治療は,定期的小腸内視鏡検査を行い,1cmを超えるポリープは腸重積や癌化のリスクがあるため切除する.

■専門医へのコンサルト

・若年性ポリポーシス

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