●病態
・大腸粘膜下のリンパ濾胞が何らかの抗原刺激因子によって増殖し,下部消化管内視鏡では大腸の広い範囲に直径5mm以下の隆起性の集合を認める.
・食物アレルギーや免疫不全症,ヘリコバクターピロリ菌やアデノウイルスなどの感染症との関連が報告されているが,病因や病態は不明である.
・好発年齢は3歳未満の乳幼児であり,線状もしくは点状の少量の血便(便とは区別できる新鮮血)を認めるときに本疾患を疑う.
・血便以外に下痢を伴うことが多く,まれに腹痛を起こすことがある.
●治療方針
便性状から本疾患が強く疑われる場合,精査は不要であり,経過観察のみで自然に改善する.不機嫌や哺乳不良など全身状態の不良を示唆する所見がなく,体重増加が良好であれば治療は不要である.
体重増加不良やその他の症状がみられる場合は,血液・生化学検査(白血球分画,総蛋白,アルブミン,肝機能,腎機能,電解質,CRP),免疫学的検査(IgG,IgA,IgM),凝固機能検査,赤血球沈降速度,便一般細菌培養を行う.
■専門医へのコンサルト
・確定診断は下部消化管内視鏡検査により行う.消化管内視鏡検査やバリウム二重造影など,本疾患以外の鑑別に精査を要する場合には,小児消化器の専門医に紹介を検討する.
・体重増加不良や貧血を認める症例では,食物蛋白誘発胃腸炎が関与する場合がある.下部消化管内視鏡検査や食物除去/負荷試験などにより診断を確定する.
■患児・家族説明のポイント
・本疾患は乳幼児に好発する良性疾患で自然に軽快すること,全身状態が良好であれば治療は不要であることを説明し,家族の不安を軽減する.
・経過観察中は,携帯電話などで便の画像を保存していただくように依頼し,受診の際に便性状や出血の程度を確認できるとよい.
参考文献
1)Elkholy S,et al:Nodular Lymphoid Hyperplasia of the Gastroi