●病態
・直腸と肛門管との接合部にある歯状線の上方は直腸円柱で,陥凹部を肛門洞という.これは下方に伸びて肛門陰窩を形成し,底部に肛門周囲腺が開口している.
・感染は主に一次口である肛門陰窩から始まり,拡大し波及する.肛門周囲膿瘍は挙筋下膿瘍の1つで皮下(二次口)に形成されたものであり,下痢などで誘発される.一方,おむつかぶれなどで表在皮膚に形成されたものは癤(せつ)と同様である.
・起炎菌は大腸菌,枯草菌,変形菌,ブドウ球菌や連鎖状球菌などで3時と9時の位置に生じやすい.
・免疫能の未熟さ,アンドロゲン過剰や解剖学的異常などの原因説がある.
・半数は2歳以下で生後6か月以内の男児に多い.再発しても1歳頃までに治癒する傾向がある.
●治療方針
炎症の軽減に努め,感染の増悪を回避する.膿の貯留が多くなれば切開排膿する.
A.非観血的療法
シャワーによる洗浄などで局所清潔に努め,軟膏の塗布を行う.下痢に対して