治療のポイント
・早期診断・早期治療が重要であり,新生児および乳児期早期における遷延性黄疸では常に本症を念頭におく.
・初期には全身状態や体重増加などの問題や,灰白色便などの特徴的徴候は必ずしも顕在化しない.
・早期の手術により良好な予後が期待されることより,可能であれば30日以内に手術を行えるような対応が望ましい.30日以降の症例でも可及的すみやかに,必要な対応が行われることが重要である.
・手術で黄疸が消失したあとも良好な長期予後を得るために,専門施設での適切な管理が必要である.
●病態
・新生児期~乳児期早期に発症する原因不明の硬化性炎症により肝外胆管が閉塞し,肝から十二指腸への胆汁排泄の途絶をきたす肝胆道疾患である.
・肝外胆管の閉塞部位によりⅠ型(総胆管閉塞型),Ⅱ型(肝管閉塞型),Ⅲ型(肝門部閉塞型)に分類される.
・病因はいまだ不明であるが,胆道形成異常説,ウイルス感染説,免疫異常説などが提唱されている.
・臨床症候としては初期には全身状態や体重増加に問題がないことが多いが,生後3~4か月を過ぎる頃より慢性肝疾患としての黄疸増強,体重増加不良,肝脾腫,腹壁血管の怒張,腹水貯留などが顕在化してくる.
・早期手術の有用性が認められており,閉塞性黄疸が疑われる症例については,本症の鑑別も含めてすみやかな診断・治療が必要である.
・診療に関して,「胆道閉鎖症診療ガイドライン」(日本胆道閉鎖症研究会)があり,疾患の解説と25のクリニカルクエスチョンから構成されている.
●治療方針
新生児期~乳児期早期の遷延性黄疸では,閉塞性黄疸に留意することが重要である.該当症例に対する専門施設での鑑別診断を行い,胆道閉鎖症であれば早期に手術を行う.また術後も適切な続発症対応を行うことで,良好な予後獲得を目指すことも重要である.
A.出生後から専門医へのコンサルトまで
新生児期および乳児期早期の黄疸,淡黄色便や