●病態
・肝硬変とは,種々の原因により肝組織の破壊と再生が繰り返され線維化が伸展した結果,肝全体にびまん性に偽小葉が形成される慢性肝疾患の終末像である.
・小児期の病因は成人と異なり,胆道閉鎖症が小児肝移植例の2/3を占め,その他に先天性胆汁うっ滞性疾患,Wilson(ウィルソン)病・シトリン欠損症などの先天性代謝異常症,B型肝炎などのウイルス感染が原因となりうる.
・肝硬変の病期は,肝機能が保たれ腹水などの症状がない代償期,黄疸・腹水・出血傾向などの重篤な症状の認められる非代償期に分類される.
・非代償期には合併症が顕在化し,肝機能不全による黄疸・低アルブミン血症・成長障害・骨粗鬆症・くる病・皮膚瘙痒,門脈圧亢進症による胃食道静脈瘤・門脈圧亢進性胃腸症・腹壁静脈怒張・脾腫・汎血球減少,それら両方が関与する腹水・血液凝固障害・肝性脳症・肝腎症候群・肝肺症候群・肺高血圧症・胆管炎(bacterial translocation含む)・特発性細菌性腹膜炎・耐糖能障害が現れ,生命予後を悪化させる.
・残存肝予備能を基準としたChild-Pugh分類(表1図)は肝移植の適応を評価する基準となり,3年生存率はおよそA:90%,B:70%,C:40%である.その他に12歳以上ではMELD score,12歳未満ではPELD scoreが開発され,15点以上は移植すべきとされている.
●治療方針
原因疾患の治療が第一であるが,治療が困難な場合も多い.一般的に肝庇護療法や栄養療法を行う.
現時点では肝不全が進行した場合,肝移植が唯一の治療法である.日本では生体肝移植が主流であり,またドナーの準備期間は数か月~1年以上必要な場合があり,早期から小児肝移植に従事する医療機関にコンサルトすることが大切である.
A.栄養障害,成長障害
安静時エネルギー消費量の増加を考慮し,通常1歳までは100~120kcal/
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