●病態
A.急性胆管炎
・胆管内に胆汁うっ滞と,胆汁中の細菌増殖により急性炎症が発症する.小児例は胆道閉鎖症術後,胆道拡張症など基礎疾患が多い.
・診断は,①炎症所見(発熱,白血球かCRP値の上昇),②胆汁うっ滞所見(黄疸または肝機能異常),③胆管病変の画像所見(胆管拡張,胆管炎の成因)を認める場合に確定される.
B.原発性硬化性胆管炎(PSC)
・原因不明の機序により,肝内外の胆管に多発性,びまん性に狭窄が生じ,胆汁うっ滞をきたす慢性肝疾患である.炎症性腸疾患や自己免疫性肝炎の合併を認める.過半数は診断時無症候性であるが,病変は次第に進行し,肝硬変から肝不全に至る.
・偶発的に行われた血液検査で肝機能異常,胆汁うっ滞所見が原発性硬化性胆管炎(PSC:primary sclerosing cholangitis)を疑うきっかけとなる.成人PSC診断基準を小児に適応する際,①胆汁うっ滞のマーカーはガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)を使用する,②胆管病変をMR胆管膵管造影(MRCP)では正常と評価されやすいため内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を検討する,③自己免疫性肝炎とのオーバーラップ症候群が予後を悪化させる可能性があるため,組織学的検査の重要性は高い.
●治療方針
A.急性胆管炎
迅速な対応が求められる.初期治療の要点は①絶飲食,②十分な補液,③経静脈的抗菌薬投与,④鎮痛薬,⑤ドレナージの検討を行うことである.
胆道閉鎖症術後では,起炎菌は多様であるため,自施設のアンチバイオグラムを参照しつつ広域スペクトラムの抗菌薬を要する.
B.原発性硬化性胆管炎(PSC)
第1選択薬としてウルソデオキシコール酸(ウルソ)が使用される.血液検査所見の改善効果はみられるが,長期予後改善効果に関しては否定的な報告が多い.当科では腸内細菌叢に対する効果を期待して,積極的にサラゾスルファピリジン(
関連リンク
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