体動脈肺動脈短絡(シャント)手術は,Fallot(ファロー)四徴に代表される肺血流減少群のチアノーゼ性心疾患に対し,肺血流を増加させてチアノーゼを軽減するとともに,肺血管(ひいては左心室)を成長させる目的で施行されてきた.加えて現在では,単心室など二心室修復が難しい症例などでシャントを調節して肺血流を適正化させ,房室弁逆流の増悪を防ぎつつ心不全と低酸素血症をコントロールし,肺血管の発育を促す手術の役割も担っている.
人工血管を用いたBlalock-Taussig(ブラロック・タウシッヒ)変法(modified BT shunt)が一般的であるが,体動脈と肺動脈の位置関係さらに体格や心室様式を考慮し,短絡位置と人工血管の太さ・長さを決定する.
A.体動脈肺動脈短絡手術の適応
a)肺動脈閉鎖/狭窄により動脈血酸素分圧<30mmHg,酸素飽和度<70%をきたす複雑心奇形で,体格や肺動脈の発育など