●病態
・診断契機は腹部膨満時.感冒,健診,予防接種などの受診時診察である.
・著明な腹部膨満は呼吸促迫をきたす.
・以下の3つに分類される.
a)原発性肝悪性腫瘍:肝芽腫(80%を占める),肝細胞がん,肝内胆管がん,未分化肉腫,胆道原発横紋筋肉腫など
b)転移性肝悪性腫瘍:神経芽腫,胚細胞性腫瘍,悪性リンパ腫など
c)良性腫瘍:血管腫,限局性結節性過形成など
・日本小児血液・がん学会編の「小児がん診療ガイドライン2016年版」がある.
●治療方針
腫瘍マーカーと画像診断が重要である.
腫瘍マーカーは,AFPのほかにNSE,PIVKAⅡ,hCGなどを測定する.画像は超音波,CT(肺転移の評価に胸部も撮影),MRI(必要に応じEOB造影)などを撮り,転移性肝腫瘍が疑われる際はPET,シンチグラフィーなどを施行する.
肝悪性腫瘍の場合は,外科手術と化学療法で治療する.肝芽腫の場合は転移の有無と,切除可能性評価を含めた術前病期(PRETEXT:pretreatment extent of disease system)分類に基づいたリスク分類を行い,層別化した治療を行う.
日本では,日本小児肝癌スタディグループ(JPLT:Japanese Study Group for Pediatric Liver Tumor)による臨床試験プロトコールで治療されることが多い.2018年にJPLT3プロトコールの臨床試験は終了し,次にJPLT4(PHITT:pediatric hepatic international tumour trial)プロトコールによる国際共同臨床試験が始まる.
A.化学療法(肝芽腫の治療)
シスプラチン(CDDP)を含む化学療法を施行する.
遠隔転移の有無とPRETEXT分類で層別化し治療法を選択する.
1.標準リスク①
CITA:転移のないPRETEXTⅠ~Ⅲに対し,JPLT