A.病名・病状の告知とコミュニケーション
がんは治療成績がどれほど向上しようと容易に死を想起させる疾患である.長期生存が得られた場合も,がんやがん治療によるさまざまな身体・心理社会的な問題に対処しつつ人生を歩み,社会人として自立する道は決して平坦ではない.
「がんの子どものケアには診断,治療,予後に関して十分な包み隠さない情報を子ども本人と子どもの親に提供することも含まれる」.これは小児がんの治癒とケアに関するErice宣言のなかの言葉である.患者の年齢や家族背景,治療時期などに応じて,発症時から誠実で子どもと家族を慮った説明を繰り返すようにする.
説明内容は多職種で検討し,得た情報は共有する.1人で抱え込まない,1人で決めない,一度で決めないことが大切である.
1.治療開始前
がんであることを含む,できる限り正確な病名,長期生存率,将来を見据えた抗がん治療と支持療法の内容,晩期合併症につい