治療のポイント
・成長する存在であることを忘れない.
・2歳までは栄養状態が成長に大きく関与するため,経口摂取が進まないときには経鼻胃管,胃瘻などによる強制栄養も考慮する.
・蛋白制限に成人のような腎保護作用は証明されていない.
・高K血症,高P血症がある場合には制限が必要である.
・血清K,Pが上昇しやすいのは,各々G5,G4以降であるが,Kについてはレニン・アンジオテンシン(RAS)阻害薬投与例では早い段階で上昇しうる.
・小児の血清P許容値は成人より高いことに留意する.
・原因不明の高K血症,高P血症では管理栄養士の診療援助を仰ぐ.
●病態
・慢性腎臓病(CKD)とは①尿異常(特に蛋白尿),画像診断,血液,病理で腎障害の存在,②糸球体ろ過量(GFR)<60mL/分/1.73m2のいずれか,または両方が3か月以上持続するものをいう.
・GFR>90,60~89,45~59,30~44,15~29,<15で各々,G1,G2,G3a,G3b,G4,G5と分類される.
・腎臓は身体の恒常性を維持するために排泄,ホルモン分泌などを行っており,腎機能の障害程度により栄養管理が必要となってくる.
●治療方針
A.食塩,水分
食塩の過剰摂取は高血圧,溢水の原因となるために制限が必要である.学童期以降であれば成人基準に準じて6g/日以下で指導する.体格に応じて調節するが,推奨量を明示しているガイドラインはない.
しかしながら,低・異形成腎などの先天性腎尿路奇形では,塩類喪失していることが多いために塩分制限が不要であるどころか,高Na,低K特殊ミルク(明治8806H)や食塩の内服が必要なことが多い.
水分摂取は溢水にならない限り,原則は制限しない.食塩制限ができていれば,嗜好品の水分でない限り,必要以上の水分はとらないはずである.
B.エネルギー量
日本人小児の食事摂取基準(表1図)を目標とする.必要所要量の80%