診療支援
治療

夜尿症
nocturnal enuresis
池田裕一
(昭和大学藤が丘病院小児科・教授)

治療のポイント

・夜尿があることにより自尊心の低下やQOLの悪化をきたさないよう,6歳以降は生活指導を含めた治療介入を積極的に行う.

・治療では「夜尿症診療ガイドライン2016」の診療アルゴリズムを参考にする.

・生活指導は治療開始から治療終了まで継続して行うことが大切である.

・デスモプレシン製剤を使用する際は服用2時間前から翌朝までの水制限が必須である.

・アラーム療法は,患児のモチベーションが高い場合に積極的な導入を試みる.

●病態

・夜尿症は5歳以降,夜間睡眠中に1か月に1回以上の頻度で,3か月以上にわたり尿失禁が続くものである.日中の下部尿路症状を伴わないものを単一症候性夜尿症,伴うものを非単一症候性夜尿症と定義している.

・夜尿症の有病率は,わが国の小児の5~11歳で14.7%,中学生で1~3%と減少するが,成人になっても0.5%程度は継続すると報告されている.

・夜尿には複数の要因があり,特に夜間多尿,夜間の機能的膀胱容量減少,睡眠覚醒閾値上昇は3大要因としてあげられる.

・小児夜尿症の75~90%は生来から持続する一次性夜尿症だが,10~25%には6か月以上夜尿がない期間を経過して再び夜尿が出現する二次性夜尿症である.二次性夜尿症は何らかの器質的疾患を合併している頻度が高いため,甲状腺機能亢進症,糖尿病,ネフロン癆などの内科的疾患,脳腫瘍などの中枢神経疾患,心理的要因も考慮する必要がある.

●治療方針

 国際小児尿禁制学会(International Children's Continence Society)では,すべての夜尿症に対して一般的な生活指導は行うべきであるが,薬物療法を含めた積極的な治療は6歳以前では行わないとしている.夜尿症の治療にあたっては,①病歴の詳細な問診(6か月以上夜尿が解消していた時期があるか,下部尿路症状を伴うか),②身体診察(身体発育,腰背部の凹みや瘢

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