●病態
・包茎とは,包皮が亀頭を完全に被覆した状態で,亀頭が全く露出しない真性包茎と勃起時のみ露出する仮性包茎がある.
・出生時の男児のほとんどは真性包茎であり,成長とともに亀頭包皮間の癒着が剥がれ思春期には改善する.
・亀頭包皮炎とは,細菌による亀頭・包皮の炎症で,就学前男児に好発し,排尿時痛と包皮の発赤・腫脹を主訴とする.発症は外陰部の不衛生に起因する.
●治療方針
包茎は,本来治療不要であるが,以下の状況では治療を考慮する.
a)排尿障害〔バルーニング(排尿時の包皮の膨張)など〕
b)閉塞性乾燥性亀頭炎
c)亀頭包皮炎の反復
d)有熱性尿路感染症を生じうる疾患(膀胱尿管逆流症など)
e)勃起時疼痛や嵌頓包茎
まず保存療法を行い,無効例に手術療法を行う.
A.包茎の保存療法
包皮翻転とステロイド軟膏塗布を行う.包皮翻転は,包皮全体を陰茎根部へと押し下げ,狭い包皮輪に緊張をかけ伸展させる.外尿道口が視認できる程度までとし,1日1回数か月間行う.瘢痕化や嵌頓包茎を避けるため,無理な力をかけないよう指導する.包皮輪が狭い場合,ステロイド軟膏を併用する.
Px処方例
リンデロン-VG薬軟膏 1日1回 包皮輪に薄く塗布 外陰部皮膚は,薬剤吸収率が高いため,期間は8週間以内に限定
B.包茎の手術療法
包皮を切除する環状切除術と,温存する減張切開術(背面切開など)がある.
C.亀頭包皮炎の治療
経口セフェム系抗菌薬の投与と,外陰部の衛生指導を行う.
Px処方例
ケフラール薬細粒小児用 1回10mg/kg(成分量として) 1日3回 5日間
■患児・家族説明のポイント
・将来本人が悩むことを危惧し治療を希望する保護者には,病的癒着を生じうるため無理な翻転は行うべきではなく,治療不要であることを伝える.
・亀頭包皮炎再発予防を目的に,排尿の自立した患児には排尿前の手洗いを指導する.