●病態
・2014年にInternational Children's Continence Societyは,下部尿路障害と排便異常(障害)が共存しているものを膀胱直腸機能障害(BBD)と定義した.BBDをきたす原因は以下A.~C.の3群に分類される.
・本項では,A.とC.によるBBDの診療・治療について概説する.
A.神経因性膀胱
・神経因性膀胱をきたす原因は,先天性と後天性疾患に分けられる.先天性のものは脊髄髄膜瘤による顕性二分脊椎症と,脊髄脂肪腫などによる潜在性二分脊椎症に分類される.後天性のものは脊髄・脳腫瘍,脊髄・頭部外傷に起因する.
・顕性二分脊椎症では,膀胱・直腸障害を高率に生じる.膀胱の高圧排尿によって約3割に2次的に膀胱尿管逆流(VUR:vesicoureteral reflux)をきたし,尿路感染症の反復などにより腎障害をきたす.腹圧による排尿であり残尿が多く,蓄尿障害もみられ,尿失禁が問題である.
B.先天性尿路異常
・尿道・尿管・膀胱の先天性疾患による.
C.非神経因性で解剖学的異常を伴わない下部尿路障害
・排尿機能の発達の遅れや不適切な排尿習慣によるものと考えられ,過活動膀胱(OAB:overactive bladder),機能的排尿異常(DV:dysfunctional voiding)などの症状がみられ,慢性機能性便秘症などの排便異常をしばしば併存する.
・5歳以上の小児で尿意切迫感や切迫性尿失禁を認める場合OABと診断する.小児では成人とは異なり尿意切迫感を自覚症状としてとらえられないので,トイレへの駆け込みや尿堪え姿勢などの他覚症状が診断の手がかりとなる.
・DVとは,随意排尿の際に骨盤底筋の過緊張や外尿道括約筋の収縮が起こる病態で,排尿圧が異常高値で残尿が多くなり,VURやそれによる反復性尿路感染症を併発する.
●治療方針
A.神経因性膀胱
反復性尿路感染症と
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