診療支援
治療

月経痛
dysmenorrhea
前田和寿
(国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター・副院長)

●病態

・月経痛(月経困難症)は月経期間中に月経に伴って起こる病的症状である.症状としては下腹痛,腰痛が多いが,多彩な全身症状を併発することが多い.初経後6~12か月経過して以来周期が確立するころに発症することが多く,月経初日から2日目に強い.

・また,排卵性月経のときに疼痛が強く,痛みはけいれん様で周期的である.原因は頸管狭小やプロスタグランジン(PG)などの内因性生理活性物質による子宮の過収縮である.大部分の思春期の女児が,程度の差はあるが月経痛を訴えると思われるが,その20~30%では症状が強く,鎮痛薬が必要であったり,日常生活に支障が出たりする場合がある.

・月経痛がある場合は,まず器質性か機能性月経痛か鑑別することが重要である.器質性疾患を除外するためには,詳細な問診を行うとともに内診,超音波検査,MRI,CT検査,細菌検査,クラミジア検査などを行い,異常がなければ機能性月経痛と診断する.思春期の場合は上記検査に制限があることが多いため,経直腸的診察あるいは経直腸超音波検査で代用する.機能性の場合は思春期から性成熟期に移行する時期に自然に軽快することが多いが,長期に持続する場合でも結婚,出産を契機に改善することがある.一方,器質性の場合は初経後時間を経て発症することが多く,症状が増悪することがある.また症状は疼痛が中心であり,全身症状が軽度である.

●治療方針

 器質性月経痛の場合は,原疾患の治療を行う.機能性月経痛は,PGなどの内因性生理活性物質による子宮の過収縮が原因であるため,PGの合成阻害薬である非ステロイド抗炎症薬が有効である.

 子宮内膜が薄いとPGの産生が少なくなり月経痛は軽減する.子宮内膜の肥厚抑制作用のある経口避妊薬〔低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤(LEP:low dose estrogen-progestin)〕を投与すると効果がある.特に月経

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