診療支援
治療

月経の人工移動
medical control of menstrual cycle
中村康彦
(山口県立総合医療センター・副院長)

●病態

・月経とは,卵胞期・排卵期・黄体期の各期で卵巣から分泌される性ホルモン〔エストロゲン(E)単独→E+プロゲステロン(P)〕が子宮内膜に作用し,増殖期・分泌期を経た子宮内膜がEとPの同時低下により剥脱する現象である.一時的な月経期間の調節には,EとPの合剤(中用量ピル)を用いる.

●治療方針

 女性にとって最も体調がよいのは卵胞期であるから,可能なら旅行やスポーツの前に月経を終了することがベストである.対象は初経を迎えた女性であり,体格はすでに成人のそれに近く投与する薬剤も成人と同量でよい.現在日本で使用可能なピルは,ドーピングの対象ではなくトップアスリートでも安心して使用できる.

 排卵前であれば7~14日間の連日投与を行い,予定より早めに月経(消退出血)を誘発・終了させる.内服開始が排卵期に近いと,排卵抑制に失敗して本来の予定どおりの月経開始となる.排卵後であれば,次回予定月経の2~3日

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?