診療支援
治療

避妊(緊急避妊を含む)
contraception
石川浩史
(神奈川県立こども医療センター産婦人科・部長)

A.避妊

 人工妊娠中絶実施件数は年々減少傾向にあるが,20歳未満の女性のうち14,128人,15歳未満の女性のうち218人が人工妊娠中絶を受けている(「平成29年度衛生行政報告例の概況」より).人工妊娠中絶を受けた女性の52%が避妊を行っておらず,避妊ありとしていた女性であってもそのほとんどは腟外射精かコンドームであったという(2007~2008年度厚労科研).コンドームは性感染症(STD:sexually transmitted disease)予防には意義があるが,避妊効果は低く,コンドームのパール指数(100人の女性が1年間使用して妊娠した人数)は2~15人に及ぶ.不妊手術を除いて最も避妊効果が高いのは低用量ピルであり,パール指数は0.27人である.

 性交のある未成年女性に対しては,妊娠出産して子育て可能となるまでは性交をしないという指導も1つではあるが,未成年女性が主体的に自身を守るためには低用量ピルの処方も選択肢の1つである.低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤であり,21日間服用と7日間休薬とする製剤が多い(偽薬により毎日服用とする製剤もある).

 副作用としては悪心・嘔気の頻度が最も高いが,飲み始めて数日で改善することが多い.体重増加の頻度は低く,かつては増えるといわれていたニキビはむしろ減ることが知られている.癌が増えるというのも偽情報であり,すべてのがんの死亡相対リスクはピル服用者でむしろ減少する.

B.緊急避妊

 無防備な性交が行われたあとに緊急的に用いられる緊急避妊法としては,緊急避妊ピル(レボノルゲストレル,商品名ノルレボ錠)がある.緊急避妊ピルは,無防備な性交から72時間以内に服用しなければならず,少しでも早いほうが高い避妊効果を得られる.

 したがって,緊急避妊は小児救急医療の一環として対応するべきである.

Px処方例

ノルレボ錠(1.5mg) 1

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