診療支援
治療

神経セロイドリポフスチン症
neuronal ceroid lipofuscinosis(NCL)
斎藤義朗
(横浜医療福祉センター港南・副センター長)

●病態

・NCLは,神経細胞内に自家蛍光を発するリポフスチン顆粒の蓄積を認める神経変性疾患の総称で,CLN114の異なる原因遺伝子の変異によりてんかん・網膜変性による視力障害・運動/知的退行・小脳失調など進行性の神経症状を呈する.

・リソソーム内の蛋白分解酵素(CLN1,CLN2,CLN10,CLN13),イオンチャネル/ポンプ関連蛋白(CLN12,CLN14),機能不明の膜蛋白(CLN3,CLN6,CLN8)・可溶性蛋白(CLN5)・輸送蛋白(CLN7)などの異常によりリソソーム機能が障害される.

・ほかのリソソーム病と異なり,蓄積物は遺伝子特異的ではなく,各CLN間で共通する物質もある.

●治療方針

A.診断

 頻度としてはCLN1~3が多く,ほかにわが国ではCLN6,CLN8の既報例がある.皮膚生検の電顕所見での封入体によるNCLの確定,次いでCLN1(PPT1),CLN2(TPP1)の酵素活性とCLN3のリンパ球空胞化の有無,さらに遺伝子解析による原因確定という順番が実際的だが,酵素活性測定がすぐ可能な場合には電顕より先んじられる場合もある.分子治療の進歩により,早期診断が今後一層重要になる可能性がある.

B.治療

 CLN2患児23例に対するTPP1(tripeptidyl petidase-1)の隔週脳室内投与の治験が欧米で終了し,有効性が確認された.米国FDAの認可も得られており,わが国でも2019年8月に製造販売が承認された.CLN1についても動物モデルで髄注による効果が報じられている.

 NCL全般にNMDA/AMPA受容体拮抗薬や高脂血症治療薬も,患児細胞や動物モデルでの有効性が示されつつある.

 ミオクローヌスてんかんの治療にバルプロ酸,ベンゾジアゼピン,レベチラセタム,ラモトリギンなどを用いる.カルバマゼピンは発作増悪の危険があり,ビガバトリンも網膜毒性のため避けるべ

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