診療支援
治療

皮質形成障害
malformations of cortical development
加藤光広
(昭和大学小児科学・教授)

●病態

・大脳皮質の発生過程の異常による形成異常である.大脳皮質の発生過程は,①神経幹細胞の増殖と細胞分化,②細胞移動,③細胞配列と皮質構築,細胞間の接合の三段階に分かれる.各段階において遺伝性もしくは外因性(低酸素性虚血性脳症,感染,化学物質,放射線など)の異常が起きると,小頭症もしくは巨脳症,滑脳症もしくは異所性灰白質,多小脳回,丸石様形成異常が生じる.

・外因性の多くは局所性・非対称性に病変を示し,遺伝性では多くが対称性である.限局性皮質異形成や片側巨脳症は,局所性もしくは非対称性であるが,受精後の細胞分裂中に生じた体細胞モザイク変異が原因となる.非対称性の多小脳回は先天性サイトメガロウイルス感染の特徴であるが,微小管を構成するチューブリン遺伝子の変異でも生じる.裂脳症と孔脳症は画像上,多小脳回の併発の有無で区別される.

・以前は両者とも外因性(虚血,出血,感染)で,裂脳症が上記発生過程の②,③の時期に,孔脳症が③の終了後に生じると考えられていたが,両者において基底膜の構成蛋白質4型コラーゲンの遺伝子変異が同定された.基底膜異常は血管脆弱性による脳内出血のほか,丸石様形成異常を引き起こし,両者の病態は出血時期の違いだけではないことが明らかにされている.

●治療方針

 根本的な治療は困難であり,遺伝相談と対症療法が主体となる.遺伝相談のためには頭部MRIによる正確な画像診断がまず重要である.遺伝性が疑われる場合は原因遺伝子解析が望ましい.皮質形成障害の程度と重症度はおおむね相関するが,脳室周囲結節性異所性灰白質や孔脳症,裂脳症では無症状のことがある.

 結節性硬化症に伴う点頭てんかんにはビガバトリンが著効する.限局性皮質異形成と片側巨脳症では,適切な抗てんかん薬2剤でも発作が難治であれば,てんかん外科手術(前者は皮質切除,後者は機能的半球離断)を行う.

■専門医へのコンサルト

・画像診

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