診療支援
治療

筋強直症候群
myotonic syndrome
萩野谷和裕
(宮城県立こども病院神経科・副院長)

●病態

・ミオトニー(myotonia:筋強直)とは骨格筋が収縮をしたあと,すぐに弛緩できない現象をいい,生理学的には筋形質膜の過剰興奮による制御不能な一時的筋緊張症状である.ミオトニーを呈する疾患としては,先天性ミオトニー,先天性パラミオトニー,筋強直性ジストロフィー,Schwartz-Jampel症候群,家族性高カリウム性周期性四肢麻痺が含まれる.

●治療方針

A.ミオトニーに対する薬物治療

 ミオトニーに対してこれまでに有効との報告のある薬物には,フェニトイン,プロカインアミド,メキシレチン,カルバマゼピンなどNa channelに作用する薬剤や,アセタゾラミド,カルシウム拮抗薬,三環系抗うつ薬,ダントロレンNaなどがある.

 しかし大規模なコントロールスタディはなく,症例報告がほとんどであり小児の報告はさらに少なかったが,最近報告された16~66歳の非ジストロフィー性のミオトニアに対する多施設二重盲検試験において,メキシレチン(メキシチール)が有効であることが示され,第1選択薬と認識されている.

 成人の場合,150~300mgを1日3回内服で症状軽減が認められている.さらに18歳以上の筋緊張性ジストロフィー患者にも同じ用量で有効であることが報告された.

 小児の実臨床ではメキシレチンを用いる.

Px処方例

メキシチール 1日5mg/kgを目安に1日3回に分けて投与 初回は1/3量から増量する

 副作用としてまれに嘔気・嘔吐,下痢,頭痛,めまい,肝障害などがある.今後,同様の治験を国内で行うことで,保険適用を獲得する必要がある.

 その他,これまで報告のある薬剤を下記に示す.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊アレビアチン散 1日2~5mg/kg(成分量として) 1日2~3回に分けて 初回は1/3量から増量する

 副作用は発疹,ふらつき,眼振,歯肉の増殖などがある.

➋アミサリン錠 

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?