診療支援
治療

神経・筋疾患のリハビリテーション
rehabilitation of neuromuscular diseases
藤井達哉
(滋賀県立小児保健医療センター小児科,国立病院機構大阪刀根山医療センター小児神経内科)

●病態

・神経・筋疾患とは脊髄運動神経・神経筋接合部・筋のさまざまな疾患の総称である.疾患ごとに病態や予後が異なり,リハビリテーションの目的や内容も異なる.

・本項では,代表的な筋疾患であるDuchenne型筋ジストロフィーに対するリハビリテーションを述べる.Duchenne型筋ジストロフィーは通常幼児期に発症し,近位筋の筋力低下で13歳までに歩行不能となり,さらに呼吸筋の筋力低下で人工呼吸器が必要となる疾患である.

●治療方針

 病態や疾患の自然歴を理解したうえで疾患の進行ステージに応じ,目的を明確にしたリハビリテーションを多職種協働のもとにガイドラインを参考に行う.至適なQOL維持のため患者のライフタイルを考慮する.

A.評価項目

 歩行可能な間は,定期的にNorth Star Ambulatory Assessment,6分間歩行テスト,Gowers' time(仰臥位から立位までの時間)などで機能評価を行い,下肢の可動域(ROM)や年1回の肺活量(VC)測定を行う.歩行能力喪失後は,上肢機能をBrookeの上肢スケールなどで評価し,上肢のROMを測定する.呼吸機能はVCに加えて咳のピークフロー(CPF)や酸素飽和度を測定し%VCが40%以下になれば,年1回睡眠中の酸素飽和度,経皮炭酸ガス分圧ないし呼気終末炭酸ガス分圧をモニターする.

B.リハビリテーション

1.歩行可能期間

 下肢の関節拘縮・変形予防,転倒予防,適切な運動・活動の促進を目的とする.診断確定時点から家庭での足・膝・股関節のストレッチ指導を行う.ROM低下の徴候があれば,夜間短下肢装具を使用する.さらにROM低下があれば,立位台・長下肢装具などを使用したストレッチを行う.

 日常生活では「運動中や翌日に筋痛や疲労を訴えない範囲」の運動を勧め,廃用を予防する.ただし心筋症合併を考慮し,心機能評価は重要である.抵抗運動や遠心性

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