Ⅰ.遺尿症
●病態
・遺尿症(昼間遺尿症)は5歳児の約2%に認められ,年齢とともに減少する.学童期になってもみられる場合には,生活指導と治療が必要である.
・身体疾患のために昼間排尿の確立が遅れる場合があり,身体疾患の有無を確認することが必要である.例えば,二分脊椎など脊椎の疾患,先天性の腎膀胱奇形,尿崩症,糖尿病,尿路感染症,てんかん発作などがある.
●治療方針
治療としては生活習慣の指導と薬物療法がある.生活習慣の指導は,排尿時の中断訓練や排尿抑制訓練がある.排尿抑制訓練は,排尿を抑制して300mL程度膀胱に尿が貯められるようにする.
薬物療法は,抗コリン製剤であるオキシブチニン塩酸塩あるいはプロピベリン塩酸塩を服用する.また,脳下垂体ホルモンであるミニリンメルトがあるが,遺尿症には現在保険適応はない.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
Ⅱ.遺糞症
●病態
・遺糞症とは「排便の自立可能な4~5歳を過ぎたあとに,器質的障害がないにもかかわらず継続的反復的に便を漏らしてしまうこと」であり,通常は不随意的である.治療が必要となる場合は「少なくとも3か月の間に,1回は起こり,年齢は4歳以上」であり,便秘以外の排便障害を引き起こすような身体疾患は,除外しなければならない.
・便秘は排便が3回/週以下で溢流性失禁を伴っている.大便がたまると排便反射が起こるが,便秘によって水分が抜け硬便となり感覚麻痺が起こり,詰まった糞塊の周囲から水様便が排泄され,下着の汚染を招く.
A.頻度
・4~5歳児では4%で,11~12歳児では1.6%というデータがある.性差では3:1以上で男児に多く,家族歴から遺伝的要因が認められる.
B.発生機序
・大腸から直腸に内容物が