文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(2016年9月)によると「不登校の要因・背景によっては,福祉や医療機関等と連携し,適切な支援や働き掛けを行う必要があるため,家庭と学校,関係機関の連携を図ることが不可欠であること」とあり,学校などから診療機関への連携の依頼があることに留意したい(「学校・専門機関などとの連携」→).
「登校刺激」をして,行けるようになる子どももいるが,そういう子どもはほとんど受診しない.「不登校」と出会った場合に,私たちは「何とかせねば」と思いが先に立ってしまうことがある.不登校臨床において子どもは人との安定したつながり(信頼関係)ができると,次の人につながりやすいことが共通する.不登校は「子どもが安心して生活できる場を見い出すため」に「人と人とが今まで以上につながる大切な機会」であると考える.
学校には多くの資源や体験の機会がある.しかし学校だけが決して社会ではないと思える時代になりつつあるように感じられる.ただし,この方針をいったんは共有したとしても家族・学校・主治医のいずれかに焦りが出てくることも当然あり,その都度,焦りの背景を共有し,再び歩調を合わせることが必要となる.
主治医は責任感・孤立感から「焦り」を感じる場合がある.その予防には地域での症例検討会やスーパービジョンなどが必須となる.
●病態
A.主訴としての「不登校」
・診療に登場する「不登校」は多くの場合,保護者に連れてこられる.それまでの経緯を想像してみると,保護者が子どもを「何とか行動させようとして」いたが,動かなくなった段階となり,対応に限界がきた状態といえる.
・「何とか行動させようとする」,これは一般的にどの保護者もすることであり,保護者なりの理由がある.そのことに,主治医が共感することが第一歩となる.
・それをふまえ,「不登校」という行動の意味を理解する.よい
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