治療のポイント
・個々の子どもの特性についてよく理解しておくことが大切である.
・保護者の大変さを認めたうえでアドバイスする.
・教育的な対応,行動療法的アプローチが中心である.
・問題行動には必ず原因があると考え,まず環境調整を行う.
●病態
A.自閉スペクトラム症
・先天的な中枢神経系のネットワーク形成の問題に起因する情報処理の機能不全であり,多因子疾患と考えられている.
・DSM-5では,「A.社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流の困難さ」と「B.限定された反復的な様式の行動,興味または活動」の2項目を満たすものとされる.
・スペクトラムとは連続体という意味で,自閉特性が重度の児から,軽度や定型発達の児まで連続しており境界線はない.また,合併する神経発達症(知的発達症,注意欠如・多動症など)や二次障害,成育環境,年齢などによっても影響され,個々の臨床像はかなり違いがある.
1.臨床像
・相手の状況を把握したり相互にやり取りをしたりすることが苦手で,かかわりが一方的になりやすい.
・流れや状況から先の見通しを立てるのが苦手なため,変化に対する対応が難しく,変化への不安が強い.
・興味の偏り・限定やこだわりをもちやすい.
・意識を向けられる範囲が狭く,呼びかけなどに反応しないことがある.
・情報を整理して関連付けるのが苦手なので,情報量が多いと混乱しやすい.
・感情のコントロールが苦手で,かんしゃくやパニックを起こしやすい.
・特定の音や皮膚感覚,匂いなどに奇異な反応や過敏さがみられることがある.
・偏食や不眠がしばしばみられ,約3割にてんかんの合併もみられる.
B.知的発達症
・従来,知的障害といわれていたもので,DSM-5では知的発達症(知的能力障害)となり,その診断基準は「知的発達機能と適応機能の両方に欠陥をもち,かつ発達期に発症するもの」とされる.原因は自閉スペクトラム症同様に多岐にわたる.
・幼
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