●病態
・家では普通にしゃべるのに,幼稚園や保育所や学校などではしゃべることができない状態である.人・場所・状況によって症状の有無や程度に差がある.DSM-5では不安症群に分類されている.
・行動抑制的気質(遺伝的な気質)を背景に環境の負荷が加わり発症する.発症年齢は入園・入学後が多く,幼児期発症が約80%である.
・症状の程度は場面緘黙質問票(SMQ-R)で評価する.
・ことばの問題,自閉スペクトラム症,軽度知的障害などの併存が多い.
・治癒まで長期間を要し,青年期以降の遷延例もある.治癒後も不安症やうつ病などの精神科的合併症に苦しむ例もある.
●治療方針
行動療法の有用性が高いが,日本では行動療法を行える医療機関がきわめて乏しいので,行動療法的なかかわり方を家庭や園や学校で行う.家族や保育者や教師に適切なかかわり方の説明と情報提供が大切である(かんもくネットのウェブサイトなど).症状が長引くほど改