診療支援
治療

出生前後小児保健指導
perinatal visit
吉田雄司
(よしだ小児科医院・院長(福岡))

 出生前後小児保健指導(ペリネイタルビジット)は産科医からの紹介で始まるため,産科医との連携は不可欠である.産科医は妊婦とその家族にペリネイタルビジットの意義や重要性を知らせるとともに,妊娠24~28週頃の妊婦に対して,出生前(妊娠28週~)あるいは育児不安が最も強くなる出生後早期(産科退院後~生後2か月)に小児科医を訪問することを積極的に勧めるとともに,原則としてパートナーとの訪問であることを伝える.地域の産婦人科医と小児科医が協議のうえ,統一された紹介状および小児保健指導票を作成する.小児保健指導を希望する妊産婦は,産科医より受け取った紹介状を持参して予約した小児科を訪問する.

A.小児保健指導の実際

 産婦人科より紹介を受けた小児科医は,この小児科訪問を家族にとって意義あるものとするために,一般外来とは異なる時間帯を用意して30~60分程度の時間を確保する.

1.出生前小児科訪問の場合

 「産科からの紹介状」の記載内容と問診から,育児支援者の有無,経済的状況,妊婦の疾患や育児不安の内容を確認する.指導内容は母乳育児の重要性,母乳と薬の影響,出生後早期にみられる赤ちゃんの症状・状態とその対処方法,寝かせ方(運動発達の促進と頭蓋変形予防のための体位変換),予防接種や乳幼児健診の受け方,タバコやアルコール,カフェインによる健康被害などである.

2.出生後小児科訪問の場合

 「産科からの紹介状」の記載内容を確認するとともに,エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)にも答えてもらう.具体的な指導内容は出生前訪問と同様であるが,テレビ,ビデオ,スマホが児の発達に与える影響についても指導する.出生後小児保健指導では児の診察を同時に行う.分娩施設退院後からの体重増加率を計算して母乳不足がないか,補足が必要かを判断する.見逃してはいけない心臓病や股関節脱臼,鼠径ヘルニア,皮膚の状態に注意しながら児を

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